HDLコレステロールとは?善玉コレステロールの働きと基準値を紹介
「HDLコレステロール」という言葉を耳にしたことはあっても、その意味や役割を正しく理解している人は少なくありません。
一般的に「善玉コレステロール」と呼ばれるHDLコレステロールは、体内の余分なコレステロールを回収し、動脈硬化の進行を防ぐ大切な働きを持っています。 逆に、この値が低下すると、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞といった重大な病気のリスクが高まります。
この記事では、HDLコレステロールの基本的な性質と健康における役割、そして低下した場合に考えられる影響についてわかりやすく解説します。
HDLコレステロールとは
HDLコレステロールは血液中に存在するコレステロールの一種です。
コレステロールと聞くと有害なイメージを持つ人が多いかもしれませんが、コレステロールは人間の体に存在する脂質の一種であり、細胞膜やホルモン、胆汁酸などの材料にもなる必要な物質です。 体内のコレステロールは肝臓で合成されるものと、食事などで口から取り込まれたものに分けられ、前者が7〜8割を占めます[1]。
なお、血液中に存在するコレステロールにはHDLコレステロールの他にLDLコレステロールがあります。 これら二つのコレステロールのバランスが崩れると血液中のコレステロールが過剰となり、健康に悪影響を与えます。
[1] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
HDLコレステロールの性質
HDLコレステロールは増え過ぎたコレステロールや、血管壁にたまったコレステロールを回収し、肝臓へ戻すはたらきをします。 一方でLDLコレステロールは肝臓のコレステロールを全身に運び、体内にコレステロールをため込むはたらきがあります。 このような性質から、それぞれ「善玉コレステロール」「悪玉コレステロール」とも呼ばれています。
HDLコレステロールが「動脈硬化」を抑制するのに対し、LDLコレステロールが増え過ぎると血管壁にたまり動脈硬化を促進します。
次の章では、HDLコレステロールが低い場合のリスクについて解説します。
HDLコレステロール値低下の影響
血中のHDLコレステロールの値が低下し、40mg/dL未満になると「低HDLコレステロール血症」と診断されます[2]。 低HDLコレステロール血症は「脂質異常症」の一つです。
HDLコレステロールが減るとコレステロールが動脈の壁にたまりやすくなり、動脈硬化を引き起こします。 動脈硬化のうち、最も一般的な形態であり、脂質異常症などが原因となる「アテローム性動脈硬化」は特に太い血管に起こりやすいとされています。
動脈硬化で心臓に血液を送る冠動脈が狭まると「狭心症」になります。
冠動脈の動脈硬化が進行し、完全に詰まると「心筋梗塞」に至ります。
また、脳の動脈が詰まると「脳梗塞」となってしまいます。
このように動脈硬化は放っておくと命に関わる病気を招いてしまう恐れがあります。 このため、HDLコレステロール値が基準より低い場合はできるだけ早く改善することが重要です。
[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「脂質異常症」
まとめ
いかがでしたでしょうか。
HDLコレステロールは「善玉コレステロール」と呼ばれる通り、体内の余分なコレステロールを回収して動脈硬化を防ぐ重要な役割を担っています。 そのため、この値が低下すると脂質異常症や動脈硬化が進行し、狭心症・心筋梗塞・脳梗塞といった命に関わる病気を引き起こすリスクが高まります。
ポイントを整理すると以下の通りです。 ・HDLコレステロールは余分なコレステロールを回収する働きがある ・値が低下すると「低HDLコレステロール血症」と診断される ・動脈硬化を進め、重大な疾患を引き起こすリスクが高まる
Q&A
- QHDLコレステロールとは何ですか?
- A「善玉コレステロール」と呼ばれる脂質の一種で、血液中の余分なコレステロールを回収し、動脈硬化を防ぐ役割を持っています。
- QHDLとLDLとの違いは何ですか?
- A LDLはコレステロールを体中に運び、HDLは余分なコレステロールを回収します。両者のバランスが崩れると健康に悪影響を及ぼします。
- Q HDLコレステロールの基準値は?
- A40mg/dL以上が正常範囲です。これを下回ると「低HDLコレステロール血症」と診断され、脂質異常症の一つとされています。
- Qコレステロール値が低いとどうなりますか?
- A コレステロールが血管壁にたまりやすくなり、動脈硬化が進行。狭心症・心筋梗塞・脳梗塞のリスクが高まります。
コレステロールを下げるための3ステップ
まずはコレステロールについて知る
コレステロールの基礎を知ろう。
コレステロールが体にもたらす影響
コレステロール増加の影響を知ろう。
あなたに合う方法を選ぶ
自分に合う改善法を続けよう。