高血圧の原因7選|塩分・肥満・飲酒・喫煙・ストレス・遺伝要因
血圧が上がる背景は一つではありません。食塩・体重・飲酒・喫煙・ストレス・遺伝に加え、甲状腺・腎疾患・睡眠時無呼吸・原発性アルドステロン症など二次性高血圧も存在します。
本記事は原因ごとの仕組みと注意点を整理しています。自分に当てはまる要因を見つけましょう。
高血圧の原因
「そもそもなぜ高血圧になってしまうんだろう?」と疑問に思った方もいらっしゃるでしょう。
高血圧は他の病気によって引き起こされる「二次性高血圧」と、生活習慣や遺伝によって引き起こされる原因のはっきりしない「本態性高血圧」に分けられます。
日本人の高血圧の多くは本態性高血圧です[1]。
本態性高血圧は塩分の摂り過ぎや飲酒、ストレス、遺伝などの原因が組み合わさって起こると考えられています。 また二次性高血圧は甲状腺や腎臓などの病気や、睡眠中に呼吸が止まってしまう睡眠時無呼吸症候群によって生じます。
この記事では高血圧の原因について詳しく解説していきます。
原因1 塩分の摂り過ぎ
高血圧の原因として塩分の摂り過ぎが挙げられます。
日本人の食生活は塩分の摂取が多くなりやすい特徴があります。塩分を摂り過ぎると血圧が上昇するのは、「ナトリウム」というミネラルのはたらきによるものです。
ナトリウムはヒトの体に必要なミネラルの一種で、主に食塩(塩化ナトリウム)の形で摂取されます。細胞外液の浸透圧を調節するはたらきを持ちますが、摂り過ぎると高血圧を引き起こすとされます。
通常、ナトリウム濃度は体内で一定に保たれていますが、塩分を過剰に摂取すると体内のナトリウム濃度が高くなりそれを下げるために体内に水分をため込みます。
それにより血液量が増加し血管の壁を押す力が高まり、血圧が上昇するのです。厚生労働省は目標とすべき1日の食塩摂取量を18歳以上の男性で7.5g未満、女性で6.5g未満としています[2]。
また、日本高血圧学会では高血圧の方に対して食塩摂取量を6.0g未満に減塩するように推奨しています[3]。 ご自身の食生活で塩分を摂り過ぎていないか見直し、できるだけ摂取量を減らしていきたいですね。
原因2 肥満
肥満も高血圧を引き起こす原因であると考えられています。
近年では特に若い世代や中年男性を中心に肥満に伴う高血圧の割合が増えています。肥満の人は適正体重の人と比べて、高血圧のリスクが約2〜3倍多くなるといわれています[4]。
肥満の人が高血圧になりやすい理由として、食事量が多い傾向にあるため塩分過多になりやすいことが考えられています。 また肥満のなかでも「内臓脂肪型肥満」の場合は、ホルモンの作用により高血圧を引き起こしやすいことが分かっています。
高血圧の予防・改善には食べ過ぎに注意し、体重をコントロールすることも重要なのです。
原因3 過度な飲酒
「過度な飲酒」も高血圧を引き起こす原因になります。
少量のアルコールには血圧を一時的に低下させる作用があるといわれていますが、長期にわたる過度の飲酒は血圧を上昇させ高血圧になるリスクを高めることが分かっています。
そのため日頃からお酒を飲み過ぎている場合は、飲酒量を減らしたり休肝日を設けたりすることが必要です。
原因4 喫煙
「喫煙」も高血圧の原因の一つです。
たばこの煙にはニコチンや一酸化炭素、活性酸素などの有害化学物質が含まれています。ニコチンは、「交感神経」を刺激して血圧を上昇させる作用があります。
また、一酸化炭素や活性酸素は血管に悪影響を与え、動脈硬化を引き起こすとされます。このようにたばこに含まれる有害化学物質は血圧を上昇させたり動脈硬化を進行させたりして血管の健康を損ねるのです。
さらに喫煙は動脈硬化を進行させ心臓病や脳卒中などのリスクを高めることが分かっており、日本人の死因にも大きく関わっているといわれています。
喫煙による高血圧のリスクは、喫煙期間が長いほど、または喫煙本数が多いほど高くなりやすいとされます。
しかし禁煙をすれば高血圧による病気のリスクは減っていくことが分かっています。 そのため喫煙者は早急に禁煙に取り組むことが重要です。
また、たばこは喫煙者だけではなく周りの人にも影響があるとされます。たばこの煙には、喫煙者本人が吸う「主流煙」、吐き出す「呼出煙」、たばこの先から出ている「副流煙」があります。
そのなかでも有害物質が多く含まれているのが副流煙とされ、非喫煙者でも受動喫煙の影響を受ける可能性があります。
実際に家庭における受動喫煙は高血圧のリスクを高めるといわれています。家族や周りの健康を守るためにも、禁煙に取り組みたいものですね。
原因5 ストレス
ストレスも血圧に悪影響を与えるとされています。 ストレスは外部から刺激を受けたときに陥る緊張状態のことを指します。
ストレスは日常生活と密接な関係にあり、適度なストレスは乗り越えたときに達成感をもたらすこともあります。 しかし過度なストレスはさまざまな不調をもたらし血圧にも大きく影響を与えます。
ストレスを受けると脳から副腎ホルモンが分泌され、それを受けてアドレナリンやノルアドレナリンというホルモンが分泌されます。アドレナリンは心拍数を高め、ノルアドレナリンは血管を収縮させる作用があり、これらの作用により血圧が上昇することが分かっています。
ストレス社会といわれる現代では、自覚がなくても過剰なストレスを抱えている場合があります。
そのためストレスと上手に付き合うことも必要なのです。
原因6 遺伝
高血圧は遺伝的要因も関係しているといわれています。多くの日本人は、塩分を摂取すると血圧が上がりやすいタイプの遺伝子を持っているとされます。
親族に高血圧の患者がいる場合は自分も高血圧にかかりやすいため、日頃から予防・改善に取り組むことが必要です。
まずは親族に高血圧の患者がいないか確認しておくと良いでしょう。
原因7 その他の病気
二次性高血圧のように、他の病気が高血圧の原因になることがあります。二次性高血圧の原因となる病気としては、主に甲状腺や腎臓の病気、睡眠時無呼吸症候群などが挙げられます。
甲状腺は喉仏のすぐ下、首の真んなかにある小さな臓器で、自律神経や脈拍数、体温などを調節する「甲状腺ホルモン」をつくるはたらきがありますが、病気によってホルモンの分泌に異常を来すと、高血圧が症状として現れる場合があります。
腎臓の病気では、腎動脈が狭まったり腎臓の機能が低下したりすることにより高血圧を引き起こします。
睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に呼吸が止まってしまう病気で、呼吸が止まると血液中の酸素濃度が低下するため、心臓のはたらきが活発になり高血圧が引き起こされます。
また近年では「原発性アルドステロン」による高血圧の割合が増えており、高血圧患者の5%程度が該当すると考えられています[5]。
二次性高血圧は本態性高血圧と異なり一般的な高血圧の治療では改善が難しく、原因となる病気の治療が必要になります。
病気を見逃していると高血圧の他の症状も悪化する可能性があるので、適宜検査を受けて病気を見つけ、適切な治療を受けることが重要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。高血圧は複合要因で起こり、生活習慣に加えて疾患由来のケースも一定割合あります。
本態性では塩分・肥満・飲酒・喫煙・ストレス・遺伝が絡み、二次性では甲状腺・腎疾患、睡眠時無呼吸、原発性アルドステロン症などが代表例。生活の見直しと必要な検査を両輪に、実践へ進みましょう。
Q&A
- Q本態性高血圧と二次性高血圧の違いは?
- A.本態性は生活習慣や遺伝などが重なって起こります。二次性は甲状腺・腎疾患や睡眠時無呼吸、原発性アルドステロン症など病気が原因です。
- Qなぜ塩分は血圧に影響があるの?
- Aナトリウム過多で水分をため込み血液量が増えるためです。結果として血管を押す力が強まり、血圧が上がります。
- Q 肥満・飲酒・喫煙・ストレスは血圧に関係ある?
- Aいずれも血圧を上げる要因です。内臓脂肪や過度な飲酒、ニコチン刺激やストレスホルモンで上昇しやすくなります。
- Qどんなとき二次性高血圧を疑う?
- A甲状腺や腎の病気、睡眠時無呼吸、原発性アルドステロン症が考えられるときです。一般的治療では改善しにくく、検査と原因治療が必要です。
正常な血圧を維持するための3ステップ
まずは不安や課題に気づく
血圧の基準を知り不安を解消。
解決方法を知る
血圧を保つ方法を幅広く知ろう。