冷え性(冷え症)とは?原因や予防・改善のポイントについて解説
「冷え性ってどんな病気なんだろう?」
「体が冷えやすいのは冷え性だからなのかな……」
体が冷えてしまう経験はあっても、冷え性かどうかまでは分からないという方もいらっしゃるでしょう。
冷え性とは、明らかな原因がないのに手足が冷えたり寒いと感じたりする体質のことです。
西洋医学では病気とは認められませんが、東洋医学では冷え症と呼ばれ、治療が必要な状態とされます。
この記事では冷え性の種類や原因について詳しく解説するとともに、予防や改善のポイントもご紹介します。
ご自身でできるポイントから生活に取り入れ、冷えを解消するための参考にしてくださいね。
1.冷え性(冷え症)とは
冷え性とは、検査で明らかな異常がみられないものの、手足が冷えたり寒気を覚えたりといった冷えの症状が生じる状態のことです。
冷え性は西洋医学では明らかな原因のないため病気とは認められず、体質であるとされます。
このため体を温める薬などはほとんどありません。
一方、東洋医学では冷え症と呼ばれ、治療の対象とされます。
東洋医学では冷えを頭痛や肩こり、関節の痛み、しびれ、便秘、下痢、いらいらや不眠といった多くの症状を引き起こす原因と考えています。
このため東洋医学で用いられる漢方薬には冷えに対応して体を温めるものが多くあります。
2.冷え性のタイプと症状
一口に冷え性といっても、その症状は一種類しかないわけではありません。
冷え性は手足や胃腸、足腰など、冷える部位や症状によっていくつかのタイプに分けられます。
この章では代表的な冷え性のタイプとそれぞれの症状について解説します。
ご自身の冷えと照らし合わせてみてくださいね。
2-1.手足が冷えるタイプ
手足が冷えるタイプの冷え性では、冬の寒さや冷房などで、手先や足先などに強い冷えやしびれを感じます。
頭痛や肩こり、霜焼け、肌荒れ、月経のトラブル、手足の先が白くなるといった症状が見られる場合もあります。
若い女性に多く見られ、なかでも痩せ型の人や過度なダイエットをしている人に多いといわれています。
2-2.胃腸が冷えるタイプ
胃腸が冷えるタイプの冷え性では、冷たい飲食物の摂り過ぎや強い冷房によって下痢や腹痛といった胃腸の不調が起こります。
また発汗やおなかの張り、肩こり、頭痛などを伴うこともあります。
手足や体の表面に冷えを感じにくいことから「隠れ冷え性」とも呼ばれており、自覚しにくいことが特徴です。
胃腸の弱い人や汗をかきやすい人、筋肉の少ない、冷たい飲食物を好む人に多いとされます。
2-3.足腰が冷えるタイプ
足腰が冷えるタイプの冷え性では、腰から足にかけて冷えやだるさ、しびれなどを感じます。
下半身の血行は悪化するものの上半身には血が巡るため、顔が火照ったり手は温かったりといった特徴が見られます。
むくみやすい人やデスクワークなどで長く同じ体勢でいる人がなりやすいといわれています。
2-4.全身が冷えるタイプ
全身が冷えるタイプの冷え性では、倦怠(けんたい)感や下痢、風邪をひきやすいといった症状が現れます。
また食欲不振や気力の低下などが見られることもあります。
このタイプの冷え性の特徴は、体温が低く季節を問わず冷えを感じやすい傾向があることです。
冷えを感じることが常態化しているため、冷えの自覚症状が乏しい場合があります。
基礎代謝の低下している若者や高齢者に多く見られます。
この冷え性での基礎代謝の低下はストレスや不摂生、食事量の不足などによって起こるケースが多いとされます。
[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「身体活動とエネルギー代謝」
3.冷え性の原因
「どうして体が冷えてしまうのかな……」
「寒いから冷え性になるんじゃないの?」
冷え性にいくつも種類があるように、冷え性の原因も一つではありません。
この章では冷え性をもたらす原因と、それぞれの原因で引き起こされる冷え性の種類について解説します。
冷え性の原因については以下の記事でも詳しく解説しています。
冷え性(冷え症)の原因とは?男女の違いや改善のポイントも解説
3-1.筋肉量の減少
筋肉量の減少は冷え性を招きます。
筋肉量は加齢や運動不足によって減少し、基礎代謝量の低下を招きます。
基礎代謝量が低いと体温が低くなるため、冷えを招きます。
また筋肉は伸縮することでポンプの役割を果たし、全身の隅々にまで血液を循環させることで体を温めています。
このため筋肉量が減少すると血行が悪くなって冷えの原因となります。
特にふくらはぎの筋肉量が減少すると、重力に逆らって血液を心臓に戻すはたらきが弱まって冷えやすくなるため注意が必要です。
なお女性は男性よりも筋肉量が少ないことから基礎代謝量が少なく、ポンプとしての力も弱いため、体が冷えやすいといわれています。
筋肉量の減少は手足や足腰、全身が冷えるタイプなど、幅広い冷え性の原因となります。
3-2.生活習慣の乱れ
生活習慣の乱れが体温調節機能に影響を与え、冷えにつながる場合があります。
体温は通常であれば早朝が最も低く、朝食後に急激に上昇し、午後からは緩やかに上昇した後に夜に向けて徐々に低下します。
しかし生活習慣が乱れると自律神経のバランスが崩れるため、体温調節機能が正常にはたらかず冷え性につながります。
また夏場や冬場を中心にエアコンを使う生活が主流となり、体温調節機能が低下している人が多くなっているともいわれています。
自律神経が乱れると手足の末端の血管が正常に収縮しなくなり、内臓に十分な血液が行き渡らなくなることから内臓が冷えるタイプの冷え性が起こります。
3-3.ストレス
ストレスも冷え性をもたらす原因となります。
これはストレスの強い状態が続くと交感神経が優位になる時間が長くなるためです。
交感神経が優位になると手足などの末梢血管が収縮した状態になることから血行が悪くなり、冷えてしまうのです。
ストレスは自律神経を乱し内臓が冷えるタイプの冷え性を招く他、多くの冷え性の原因になるといわれています。
3-4.ホルモンバランスの乱れ
女性はホルモンバランスの乱れによって冷え性になる場合があります。
ホルモンバランスが乱れると、体温調整を担う自律神経が影響を受けて血行が悪くなり、冷え性になる場合があります。
女性は月経、出産、閉経などの際にホルモンバランスが乱れやすい傾向があります。
なかでも更年期の女性では、下半身が冷えるとともに上半身が火照るように熱くなる「冷えのぼせ」という症状が出る場合があります。
筋肉量の少なさに加え、ホルモンバランスの面から見ても女性は冷え性になりやすいのですね。
[1] 公益社団法人 日本産科婦人科学会「更年期障害」
3-5.服装
服装も冷え性の原因となる場合があります。
薄着だったり、手首や足首、首などの冷えやすい部位がカバーされていなかったりすると冷え性になりやすいため注意が必要です。
なお室内と屋外で寒暖差が大きい夏場や冬場は、自律神経が乱れて体温調節に支障が出やすいため、特に冷えやすいとされています。
加えて、下着や靴などで体を締め付けることも血行の悪化につながるため、冷え性の原因になることがあります。
4.冷え性を予防・改善するためのポイント
「冷え性はどうすれば予防や改善できるのかな?」
さまざまな不調をもたらす冷え性の予防・改善方法、気になりますよね。
冷え性を予防・改善するには日々の生活習慣を見直すことが大切です。
この章でご紹介するポイントをぜひご自身の生活に取り入れてくださいね。
ポイント1 湯船につかる
冷え性の予防・改善には入浴をシャワーだけで済まさず、湯船につかる習慣をつけましょう。
湯船につかると温熱作用がはたらき、体温が上昇して血行が良くなるため冷え性の予防や改善が見込めます。
またお湯の水圧も血行の改善を促してくれます。
さらに新陳代謝が高まって体内の老廃物が取り除かれるため、冷えによって生じる肩こりなどの解消も期待できますよ。
38~40℃程度のぬるめのお湯に10分以上しっかりつかると体がしっかり温まり効果的だといわれています[3]。
[3] 全国健康保険協会「体を温める3つの習慣」
ポイント2 運動習慣を身につける
冷え性の予防・改善には運動習慣を身につけることが重要です。
筋肉量を増やして基礎代謝を高め、血液を循環させるポンプ機能を強化することで体が温まりやすくなります。
筋肉量を増やすには筋トレが効果的です。
なかでもスクワットは下半身の大きな筋肉やふくらはぎを鍛えられるため、冷え性の予防・改善に特に有効です。
スクワットはまず足を肩幅程度に広げ、爪先をやや外側に向けて立ちます。
この際、膝と爪先は同じ向きにします。
お尻を後ろに突き出すようにして、背中を丸めずゆっくりと膝を曲げて腰を落とします。
膝が爪先よりも前に出ないよう注意してください。
太ももが床と平行になるまで曲げたら、ゆっくりと元の姿勢に戻ります。
スクワットが難しいという方は椅子につかまりながら行っても構いません。
筋トレについては以下の記事で詳しく解説しています。
筋トレ開始前に知っておきたいコツとは?基本的なメニューも紹介
またウォーキングやジョギングといった有酸素運動も血行が良くなって新陳代謝が促進されるため、冷え性の予防・改善に効果的です。
運動は無理のない範囲で行い、日々の習慣にすることが大切です。
忙しくて運動の時間を取れない方は、日常生活のなかで意識的に体を動かしてみましょう。
通勤や買い物の際に極力歩くようにする、エレベーターではなく階段を使うといった習慣をつけることで、冷え性の予防・改善が目指せますよ。
ポイント3 体を冷やす飲み物や食べ物を控える
冷え性を予防・改善するには、体を冷やす飲み物や食べ物は控えましょう。
白砂糖や白米、小麦製品などの精製された食べ物、なすやトマト、きゅうりのような夏が旬の野菜、オレンジやバナナ、マンゴーのような暖かい地域でとれる果物は体を冷やすといわれています。
またコーヒーやお酒、緑茶、ジュースなどの飲料やチョコレート、スナック菓子なども体を冷やすとされるため注意が必要です。
一方で、生姜やねぎ、ニンニク、大根、かぼちゃ、ごぼうなどの根菜やほうれん草、小松菜などの寒い地域でとれる野菜、みそやチーズなどの発酵食品は体を温めます。
また赤身の肉類や魚類は体を温めてくれる上に、筋肉の材料となるたんぱく質が多く含まれています。
冷え性で悩んでいる方は、これらの食材を取り入れた食生活を心掛けてくださいね。
加えて冷たい飲み物や食べ物はできるだけ控え、飲み物はなるべく常温か温かいものを飲むようにしましょう。
特に寝起きや食前に白湯を飲むと、内臓を温めて活性化し、血流を改善できますよ。
ポイント4 適切な服装を選ぶ
冷え性を予防・改善するには服装にも気を付けましょう。
太い動脈が皮膚のすぐ下を通る首と手首、足首の「三つの首」を覆って体温を逃さないことが重要です。
寒い時期はマフラーやタートルネックセーター、アームウォーマー、レッグウォーマーなどを活用しましょう。
暑い時期も屋内のエアコンに注意が必要です。
薄手の服や裸足にサンダルといった格好は避け、カーディガンやストールなどを常備しておきましょう。
また胃腸の周りにも多くの血管があるため、腹巻きなどを用いておなかを温めると全身が温まります。
加えて、きついジーンズやストッキングのような体を締め付ける服や下着は血行を妨げて冷え症の原因となるため、避けた方が良いでしょう。
ポイント5 3食きちんと食べる
冷え症の予防・改善するには3食きちんと食べる習慣を持つことが重要です。
食べ物を摂取すると、栄養素の一部は生命を維持したり体を動かしたりするためのエネルギーになります。
この際にエネルギーの一部が熱として消費されます。
食事をすることで体の内側から熱をつくりだせるため、冷え性の予防や改善につながるのですね。
このため、日々の食事でたんぱく質を意識的に摂取することで効率的に冷え性の対策ができると考えられます。
なお食事誘発性熱産生は筋トレなどで筋肉を増やすと高くなるといわれています。
筋肉の材料となるたんぱく質をしっかり摂って筋トレをすることで、より冷え性対策の効率を上げることができるでしょう。
さらに、食べるときにしっかり噛むことでも食事誘発性熱産生を高められますよ。
ポイント6 漢方薬を活用する
冷え性の予防や改善には漢方薬が有効です。
東洋医学では体の冷えは冷え症と呼ばれ、さまざまな不調を引き起こす状態だと考えられています。
このため東洋医学で用いられる漢方薬には症状に合わせて体を温めるものが多く存在しています。
手足が冷えるタイプの冷えには、体の末梢の血流を改善するとされる「当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)」や「五積散」などが使われます。
胃腸が冷えるタイプの冷えに対しては、おなかを温めてくれる「人参湯」や「大建中湯」などが有効だとされます。
足腰が冷えるタイプの冷えには「八味地黄丸」や「苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)」「温経湯」などが主に用いられます。
なお、冷えのぼせが生じている更年期の女性には「女神散」「加味逍遙散」が使われます。
全身が冷えるタイプには体を温める「六君子湯」や「人参湯」「真武湯」「大建中湯」などが適しているとされます。
実際には医師が診断を行い、患者の体質や症状などを考慮した上で適した漢方薬を処方します。
医師の処方箋があればほとんどの場合は健康保険が適用されるため、まずは漢方薬を取り扱っている医療機関を受診してみると良いでしょう。
5.冷え性についてのまとめ
冷え性は明らかな異常がみられないものの、冷えの症状が生じる状態のことです。
冷え性は西洋医学では病気と認められないため、体を温める薬などはほとんどありません。
一方、東洋医学では冷え症と呼ばれて多くの体調不良の原因とされるため、体を温める漢方薬が多くあります。
冷え性には手足や胃腸、足腰、全身など、冷える場所や症状によって大きく四つのタイプに分けられます。
冷え症の原因には筋肉量の低下に伴う基礎代謝量の減少、生活習慣の乱れやストレスによる自律神経の失調、女性の生理や出産、閉経などに伴うホルモンバランスの乱れ、体を冷やしたり締め付けたりする服装などがあります。
冷え性を予防・改善するには、湯船にしっかりつかって体を温めるとともに、運動習慣をつけて筋肉量を増やしましょう。
また体を冷やす食べ物を控えてたんぱく質などの体を温める食べ物を積極的に摂ること、3食ともよく噛んできちんと食べることが重要です。
寒い季節や冷房の効いた室内では首や手首、足首を隠す服装を心掛けると共に、体を締め付ける服や下着は避けましょう。
加えて医師の診断のもとで漢方薬を活用することも冷え性の対策として有効です。
この記事をご自身の冷えの原因を知り、解消するための参考にしてくださいね。