基礎体温とは?測り方や変動の周期、測定するメリットについて解説
「基礎体温って何だろう?」
このように疑問に感じている方もいらっしゃるかもしれませんね。
基礎体温とは安静時、つまり睡眠中の体温のことです。
基礎体温は女性ホルモンの影響を受け変動するため、月経や排卵とも深い関わりを持っています。
そのため基礎体温を記録することは、月経のタイミングや妊娠しやすい時期を把握でき、体や心の状態を知る手がかりとなるといえるでしょう。
この記事では基礎体温の測定方法や月経周期に伴う変化、測定するメリットなどについて詳しく解説します。
1.基礎体温とは
「基礎体温という言葉は耳にしたことがあるけど、どのようなものだろう?」
このように、実際のところ基礎体温が何を指しているのかよく分からないという方もいらっしゃるかもしれませんね。
基礎体温とは生命を維持するために必要最低限のエネルギーしか使っていない安静時の体温のことです。
具体的には、寝ている間の体温を基礎体温といいます。
女性の場合、基礎体温を測ることで分かることが多くあります。
女性の体は初潮を迎えてから妊娠期間を除いた閉経するまでの間、月経周期を繰り返します。
一つの周期中で排卵、月経が起こるのは、女性ホルモンのはたらきによるものです。
基礎体温は女性ホルモンのバランスの変化に伴って変動します。
そのため、基礎体温の変化から月経や排卵といった体の状態を知ることができるのです。
基礎体温はどのように変動するのか次の章で具体的に解説します。
[1] 公益社団法人日本産婦人科医会「月経の正常と異常」
2.基礎体温と月経周期の関係
「生理前は熱っぽいな……」
このように生理前に体のほてりを感じた経験がある方もいらっしゃるかもしれませんね。
基礎体温は女性ホルモンの「エストロゲン」と「プロゲステロン」のはたらきにより「低温期」と「高温期」に分かれます。
排卵後は低温期よりも0.3~0.5度上昇し高温期に突入します[2]。
個人差がありますが、この基礎体温の上昇により熱っぽくなったり、眠気やだるさを感じたりすることもあります。
この章ではどのようなメカニズムで基礎体温が上昇するのかについて低温期と高温期に分けてそれぞれ詳しく解説していきます。
[2] 厚生労働省 ヘルスケアラボ「基礎体温」
2-1.低温期
基礎体温は月経が始まると約12~16日間続く低温期に入ります[3]。
月経周期は下記の四つの期間に分けられ、このうち月経期から排卵期が低温期です。
| 月経周期 | 体で起こる変化 |
|---|---|
| 月経期 | 妊娠に至らなかった際に、子宮内膜が剝がれ落ちて血液と一緒に排出される |
| 卵胞期 | 妊娠に向け卵子の元となる「卵胞」が成熟し、子宮内膜が厚くなる |
| 排卵期 | 卵胞から卵子が排出される「排卵」が起こる |
| 黄体期 | 子宮内膜が厚く柔らかくなり、妊娠に適した状態になる |
公益社団法人 女性の健康とメノポーズ協会「正常な月経の目安とは」をもとに執筆者作成
月経周期は複数のホルモンが複合的に作用することで成り立っています。
卵胞期には脳からの命令により「卵胞刺激ホルモン」が分泌され、卵胞が刺激を受けてエストロゲンを分泌します。
エストロゲンには基礎体温を下げるはたらきがあります。
エストロゲンの分泌量増加に伴い、卵巣では卵胞の成長が促され、子宮では子宮内膜に厚みが増し、基礎体温が低下します。
エストロゲンの作用により卵胞が十分に育つと、黄体形成ホルモンの分泌量が急増し排卵を起こす排卵期に入ります。
排卵が起こるとプロゲステロンの分泌が促され、子宮内膜の厚みを維持することで妊娠しやすい状態(黄体期)になります。
プロゲステロンには基礎体温を上昇させるはたらきがあります。
このため基礎体温が上昇し、高温期へ移行するのです。
[3] 厚生労働省 ヘルスケアラボ「基礎体温」
2-2.高温期
「生理が近くなるとむくみやすい……」
このように月経前に不調を感じやすいという方も多いのではないでしょうか。
高温期はプロゲステロンの影響によりさまざまな不調が起こりやすくなります。
排卵後、黄体期に入ると同時に約14日間続く高温期が訪れます[4]。
黄体期とは月経周期のうち、妊娠に向けて体を整える期間です。
黄体期には排卵後の卵胞が黄体という細胞に変化し、プロゲステロンの分泌が盛んになります。
このプロゲステロンのはたらきにより基礎体温は上昇し、子宮内膜に厚みをもたせ妊娠に適した状態へ体を変化させます。
プロゲステロンはそれ以外にも、便秘や肌荒れ、精神的に不安定になるといった生理前に起こるさまざまな症状に関わっています。
またこの時期は「PMS(月経前症候群)」が起こりやすいといわれています。
妊娠すると、エストロゲンとプロゲステロンの分泌量が増加します。
これらのホルモンは妊娠の継続にとって極めて重要ですが、妊娠初期の吐き気・嘔吐(おうと)をもたらす「つわり」や気分の落ち込みといったさまざまな症状も引き起こします。
一方、妊娠が成立しないとエストロゲン、プロゲステロンの分泌量は激減し、子宮内膜が剝がれ落ちて月経が始まります。
月経前に感じる不調はプロゲステロンのはたらきも関係しているのですね。
PMS(月経前症候群)については以下の記事で詳しく解説しています。
PMSとは?月経前症候群の主な症状や受診の目安、治療法を解説
[4] 厚生労働省 ヘルスケアラボ「基礎体温」
[5] 厚生労働省 ヘルスケアラボ「月経前症候群(PMS)」
3.女性が基礎体温を測定するメリット
「基礎体温を測定するメリットは?」
このように疑問に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
基礎体温は女性ホルモンの影響を受けているため、体の変化を知る一つの指標になります。
体の変化を把握することは自分自身の健康管理に役立ちます。
では具体的にどのようなメリットがあるのかについて解説していきます。
3-1.月経周期を把握できる
基礎体温を測定することで、ご自身の月経周期を把握することができます。
月経周期が把握できると排卵日がいつ頃なのか、月経までどれくらいの日数があるのかを知ることができます。
月経の初日から排卵までは低温期で、排卵が起こると基礎体温が上昇する高温期に入ります。
例えばご自身の月経周期が約30日で低温期が約15日と分かっていれば、「今日は低温期の10日目だから後5日くらいで排卵日、3週間くらいで月経が来る」と推定できます。
これにより、先の予定を立てたりあらかじめ備えたりしやすくなります。
また低温期が長く続く、高温期が短いといった場合は無排卵月経や黄体機能不全の疑いがあり、不妊の原因となる可能性があります。
基礎体温を測定することは、こうした不調をいち早く知るための手がかりにもなります。
3-2.体の不調のタイミングを予測できる
基礎体温から月経周期を把握することで心身の不調のタイミングが予測しやすくなります。
月経周期に関係する心身の不調は主に月経期と黄体期に生じます。
月経が始まると低温期に入り、基礎体温は低下するため血行が悪くなります。
また経血を排出するために子宮を収縮させるホルモンが分泌されます。
これらの作用により生理痛が起こり、おなかや腰にだるさや痛みを感じます。
また頭痛や胃痛、肌荒れなどが生じることもあります。
一方で、基礎体温の上昇がみられる高温期はプロゲステロンの分泌量が急増することで、以下のような不調が起こりやすくなります。
- 眠気がする
- 頭痛がする
- 下腹部が痛む
- 胸の張りや痛みが起こる
- 便秘、おなかが張る
- 肩が凝る
- イライラする
- ちょっとしたことで落ち込む
- 怒りっぽくなる
- やる気が起こらない など
個人差はありますが、高温期は12~14日続き[6]、上記のような症状は月経開始とともに落ち着くとされています。
体調のリズムをより把握しやすくするためにも基礎体温を計測する際は、気になる症状を書きとめるようにしましょう。
[6] 厚生労働省 ヘルスケアラボ「基礎体温」
3-3.肌荒れの起こりやすい時期を予測できる
基礎体温を測定することで肌荒れしやすい時期が予測できます。
高温期はプロゲステロンの分泌が活発になるため、肌にさまざまな悪影響が生じやすくなります。
プロゲステロンには皮脂の分泌量を増やす作用があります。
これにより毛穴が詰まりやすくニキビが発生しやすくなるのです。
またシミの原因となる「メラニン」の産生を増やすことも分かっています。
月経前の1週間はこのような症状が起こりやすいため[7]、糖分や刺激物の多い食事やアルコールの摂取、ピーリングのような刺激の強い肌ケアは控えめにしましょう。
[7] 厚生労働省 ヘルスケアラボ「基礎体温」
3-4.太りやすい時期を予測できる
基礎体温を測定することで、太りやすい時期を予測することができます。
プロゲステロンには体に水分をため込むはたらきがあります。
このため排卵後の高温期になると体がむくみやすくなり、体重も増えやすくなります。
ただしむくみは月経が始まると自然に解消されていくのであまり心配は要りません。
またプロゲステロンには食欲を増進させる作用があります。
「生理が近くなるとつい食べ過ぎてしまう……」という方も多いのではないでしょうか。
月経前は情緒が不安定になりやすく、ストレスを感じやすいこともあり過食につながりやすいといえるでしょう。
体重が増えやすい時期を予測できることで、対策をとることもできます。
食欲が高まった際は腹持ちが良く、腸の動きを活発にする食物繊維を多く含む食品を摂ることで、多少なりとも体重の増加を抑えることができますよ。
3-5.妊娠の可能性を予測できる
基礎体温を測定することで妊娠の可能性を予測することができます。
月経が遅れて基礎体温の高い状態が続く場合は妊娠の可能性があります。
妊娠していない場合、排卵後の高温期は12~14日間続き[8]、月経開始とともに低温期が始まります。
しかし妊娠していると予定日を過ぎても月経が始まらず、高温期が続きます。
この場合は妊娠の可能性を考え、産婦人科を受診しましょう。
また妊活をしている方は、排卵のタイミングを知ることで妊娠の可能性を高めることができます。
[8] 厚生労働省 ヘルスケアラボ「基礎体温」
4.基礎体温の測り方
「基礎体温はどうやって測るの?」
「基礎体温って普通の体温計で測れるのかな……」
基礎体温に関心があっても、何を使ってどのように測れば良いか分からないという方もいらっしゃるでしょう。
基礎体温を測るには「婦人体温計(基礎体温計)」が必要です。
月経周期における基礎体温の変動は0.3~0.5度と細かいため[9]、小数第2位まで測定できる婦人体温計を用います。
基礎体温は安静時、つまり睡眠中の体温のことです。
睡眠中に自分で体温を計測することはできないので、朝目覚めた直後、横になったまま測る必要があります。
体温は少しの動作でも上昇してしまうため、すぐに測れるよう婦人体温計は枕元に置いておきましょう。
基礎体温の計測は舌下で行います。
婦人体温計を舌の裏側のつけ根に当て、口を閉じたまま測ります。
このとき、呼吸は鼻でしてください。
基礎体温を測定したら、基礎体温表に記録しましょう。
また月経日や性交日、起こった体調不良なども記録しておくことで、より体温と関連した体調の変化を把握しやすくなります。
また自分の体の状態をより知るために、2~3周期は計測を続けることが大切です[9]。
[9] 厚生労働省 ヘルスケアラボ「基礎体温」
5.必要に応じて産婦人科を受診しよう
「自分の基礎体温は正常なのかな?」
このような不安や気になることがある方は産婦人科を受診しましょう。
ここで受診の目安となる例をいくつか紹介します。
【受診の目安となるポイント】
- 低温期と高温期の体温がほとんど変わらない
- 高温期が短い
- 高温期の間、一時的に低温になるなど体温の上下が激しい
- 3カ月以上月経がない[10]
一つでも当てはまる際は何らかの原因でホルモンバランスが乱れていたり、子宮や卵巣のはたらきが不十分であったりする可能性があります。
場合によっては不妊の原因になることもあるため注意が必要です。
基礎体温や月経周期には個人差があるため、ご自身だけでは判断し難いこともあります。
心配なことや気になる症状がある方は産婦人科の専門医に相談しましょう。
[10] 厚生労働省 ヘルスケアラボ「基礎体温」
6.基礎体温についてのまとめ
基礎体温は安静時、つまり睡眠中の体温のことです。
睡眠中には自分で体温を計測することはできないため起床直後に横になったままの状態で測ります。
基礎体温は女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンのはたらきにより低温期と高温期に分かれます。
月経開始とともに低温期が始まり、エストロゲンの分泌が増え、排卵が起こるまで体温は低いままです。
排卵を境にプロゲステロンの分泌が増え、0.3~0.5度程体温が上昇して高温期が始まります[11]。
高温期にはプロゲステロンの影響で、便秘や肌荒れ、精神的に不安定になるといった心身の不調が起こります。
基礎体温を測定すると月経のタイミングや妊娠しやすい時期を把握できる他、心身の不調の時期を予測することができます。
基礎体温を知ることはご自身の体調管理や日常生活でのケアに役立つだけでなく、妊活を行う方にとっても重要だといえるでしょう。
自分の体の状態をより知るために、2~3周期は計測を続けることが大切です[11]。
基礎体温を計測し、体温の変動や月経周期に不安がある場合は、産婦人科の受診をお勧めします。
この記事を日々の快適な生活や妊活のために役立てる参考にしてくださいね。
[11] 厚生労働省 ヘルスケアラボ「基礎体温」