内臓脂肪を減らすための食事のポイント
ポイント1 エネルギー摂取量を適切に制限する
内臓脂肪を減らすには、食べ物からエネルギー(カロリー)を摂り過ぎないことが重要です。
内臓脂肪を含む体脂肪の蓄積は、エネルギー摂取量(摂取カロリー)がエネルギー消費量(消費カロリー)を上回り続けることによって起こります。
つまり内臓脂肪を減らすにはエネルギー摂取量をエネルギー消費量よりも少なくすることが必須です。
1日のエネルギー摂取量を決めるには、まず目標体重を設定しましょう。
エネルギー消費量は性別や身体活動量(安静にしている状態よりエネルギーを消費する動作の量)、体格などによって異なります。
目標体重のときのエネルギー消費量(推定エネルギー必要量)を目安にカロリー制限を行うことで、体重は目標体重に近づくと考えられます。
目標体重の設定にはBMIを参照することが勧められます。
厚生労働省は身体機能や健康の維持を目的に、目標とすべきBMIの範囲を以下のように定めています。
| 年齢 | 目標とするBMI |
|---|---|
| 18〜49歳 | |
| 50〜64歳 | |
| 65歳以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
年齢に応じて、目標体重をこの目標とするBMIの範囲に収まるよう設定しましょう。
BMIから目標体重を設定する場合は、[目標とするBMI]×[身長(m)の2乗]で求められます [2]。
また推定エネルギー必要量の設定には「身体活動レベル」を用います。
身体活動レベルには以下の3段階があります。
| 身体活動レベル | 日常生活の内容 |
|---|---|
| 低い | 生活の大部分を座って過ごし、あまり体を動かさない場合 |
| 普通 | 座って過ごすことが多いが、歩いたり立ったりする作業や接客などを行う機会や、通勤や買い物で歩く機会、家事や軽いスポーツを行う機会がある場合 |
| 高い | 歩いたり立ったりすることが多い仕事に就いている場合、あるいは余暇に活発に運動する習慣がある場合 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
年齢・性別・身体活動レベルごとの体重1kg当たりの推定エネルギー必要量は以下のとおりです。
| 性別 | 男性 | 女性 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 身体活動レベル | 低い | 普通 | 高い | 低い | 普通 | 高い |
| 18〜29歳 | ||||||
| 30〜49歳 | ||||||
| 50〜64歳 | ||||||
| 65〜74歳 | ||||||
| 75歳以上 | ||||||
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
ご自身の目標体重に体重1kg当たりの推定エネルギー必要量を掛け合わせることで、1日の適正なエネルギー摂取量を求められます。
この適正なエネルギー摂取量を超えないように食生活を送ることで、体重を目標に近づけることができますよ。
[1] 厚生労働省 健康づくりサポートネット「BMI」
[2] 厚生労働省 健康づくりサポートネット「肥満と健康」
ポイント2 エネルギー産生栄養素バランスを意識する
内臓脂肪を減らし、肥満を解消するにはエネルギー源となる栄養素をバランス良く摂取しましょう。
ヒトのエネルギー源になる栄養素(エネルギー産生栄養素)には、炭水化物(糖質)、たんぱく質、脂質の3種類があります。
炭水化物には脳や神経にエネルギーを供給する重要な役割があります。
たんぱく質は筋肉や臓器、皮膚、毛髪などを構成する他、ホルモンや酵素などの材料ともなります。
また脂質は細胞膜を構成する重要な成分であり、生理活性物質(ホルモンなど)としてもはたらきます。
エネルギー産生栄養素はそれぞれ体に欠かせないはたらきをしますが、特に炭水化物や脂質の摂り過ぎは肥満の原因になることが知られています。
このため、単にカロリー制限を行うのではなく、エネルギー産生栄養素をバランス良く摂取することが健康には欠かせません。
厚生労働省はエネルギー産生栄養素の目標量を1日の総エネルギー摂取量(総摂取カロリー)に対し、それぞれの栄養素から摂取すべきエネルギー量(カロリー)の割合で設定しています(単位:%エネルギー)。
このうち炭水化物の目標量は18歳以上の全年代で50〜65%エネルギー、脂質の目標量は18歳以上の全年代で20〜30%エネルギーです[3]。
たんぱく質の目標量は世代によって変化し、18〜49歳では13〜20%エネルギー、50〜64歳では14〜20%エネルギー、65歳以上では15〜20%エネルギーです[3]。
エネルギーの摂取量を抑える際にはバランスを意識しましょう。
[3] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
ポイント3 食物繊維を十分に摂る
食物繊維を十分に摂ることも内臓脂肪を減らす際には有効です。
食物繊維は炭水化物の一種で、食品に含まれるヒトの消化酵素では消化できない成分の総称です。
食物繊維は整腸作用や便秘の予防・改善効果があることで知られていますが、肥満や生活習慣病の予防・改善効果も期待されています。
これは食物繊維が脂肪の蓄積や脂質異常症などの原因となる糖質と脂質、高血圧の原因となるナトリウムを吸着して体外に排出するためです。
また糖質の吸収を緩やかにし、血糖値の急上昇を抑制する作用も認められています。
食物繊維は内臓脂肪の解消だけでなく、内臓脂肪の蓄積によってリスクの高まる生活習慣病の予防にも有効だといえるでしょう。
食物繊維は野菜類や豆類、きのこ類、海藻類、果実類などの植物性食品に多く含まれる一方、肉類や魚介類などの動物性食品にはほとんど含まれません。
特に、押し麦やそば、ごぼう、さといも、ブロッコリー、モロヘイヤ、切り干し大根、いんげん豆、さつまいも、おから、納豆、しいたけ、ひじき、りんごなどの食品は食物繊維が豊富で、1食分の量に2〜3gを含むといわれています[4]。
厚生労働省は成人に対し、健康のために食物繊維を1日当たり25g以上摂取することを推奨していますが、日本人の摂取量は全世代でこれよりかなり少ない状況です[5]。
このため現実的な数値として、以下のような摂取目標量が設定されています。
| 年齢 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 18~29歳 | ||
| 30~64歳 | ||
| 65~74歳 | ||
| 75歳以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
目標量を意識して積極的に食物繊維を摂取すると良いでしょう。
[4] 厚生労働省 健康づくりサポートネット「食物繊維の必要性と健康」
[5] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
ポイント4 アルコールを控える
内臓脂肪を減らし、肥満を解消するにはお酒を控えましょう。
アルコールは体に必要な栄養素ではないためエネルギー産生栄養素には数えられませんが、1g当たり約7kcalのエネルギーを生み出します [6]。
つまり、たとえ糖質ゼロのお酒であってもアルコール度数が9%であれば、500mLではアルコールだけで250kcalになるのです[7]。
また、アルコールのエネルギーが消費されている間は糖質や脂質などはエネルギー源として使われずに蓄えられるため、これも肥満の要因となります。
さらにアルコールには食欲を増進する効果もあるといわれています。
脂っこいおつまみや締めのラーメンも肥満につながるため注意が必要です。
[6] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
[7] 厚生労働省 健康づくりサポートネット「アルコールとメタボリックシンドローム」
ポイント5 よく噛んで食べる
よく噛んでゆっくり食べることも内臓脂肪の減少には有効です。
食べ物をよく噛むと、脳内でヒスタミンというホルモンが分泌されます。
ヒスタミンは食欲を抑え、同じ量の食事でもより満腹だと感じさせる作用があるといわれています。
またよく噛むことで、食事に時間をかけることも重要です。
満腹感の発生には食べ始めてから20分ほど必要だといわれています[8]。
これは食事を始めると分泌される「レプチン」というホルモンが脳の満腹中枢を刺激し、食欲を抑えるまでに20分ほどかかるためです[8]。
ゆっくり食べなければ、満腹感が生じるまでに食べ過ぎてしまうのですね。
実際に早食いの人ほどBMIが高いという調査結果も報告されているため、意識的によく噛んでゆっくり食べるようにしましょう[9]。
[8] 公立学校共済組合「内臓脂肪を増やさない! 食事のヒントをお届けします」
[9] 厚生労働省 健康づくりサポートネット「速食いと肥満の関係 -食べ物をよく「噛むこと」「噛めること」」
ポイント6 規則正しく食事を摂る
内臓脂肪を減らし、肥満を解消するには規則正しい食生活を送りましょう。
血糖値を正常に保つには、食事を抜かずに毎食しっかり摂ることが重要です。
食事を抜くと、次に食事を摂った際に血糖値が上がりやすくなるといわれています。
食事を摂って血糖値が上がると分泌されるインスリンは、血糖値を下げるはたらきを持つ唯一のホルモンです。
インスリンは血糖(血中のブドウ糖)を細胞にエネルギーとして消費させ、消費し切れなかった血糖を体脂肪に変えて蓄えさせることで血糖値を低下させます。
このため、血糖値が急上昇してエネルギーとして消費し切れないことが続くと、体脂肪の蓄積につながってしまうのです。
また夜遅くの食事も極力避けましょう。
食後すぐに寝てしまうと、摂取したエネルギーが消費されずに体脂肪として蓄えられ、肥満の原因になります。
全体のエネルギー摂取量を抑えながらも、3食規則正しく食べることを意識しましょう。