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年齢に関係しない正常値の考え方と血圧判定表の見方を詳しく解説

血圧の話題は日常でよく耳にする一方、「上と下は何を示す?」「診察室と家庭で基準は違うの?」といった基本が曖昧なままの方も少なくありません。本記事では、血圧の仕組みと“年齢に左右されない”正常値の考え方を整理し、診察室血圧と家庭血圧の具体的な判定表まで一体で確認します。最初に基礎をおさえることで、以降の記事(60代の平均値や改善策)もスムーズに理解できるはずです。この文章では、血圧の定義・正常値・高血圧の基準を分かりやすく解説しています。

血圧の正常値と高血圧の基準

「そもそも血圧とは何を示す数値なのだろうか……」 「血圧はどれくらいの数値ならば正常なんだろう?」 血圧の話は聞いたことがあっても、血圧が何を指し示す値なのか、どのくらいなら正常かまでは知らないという方もいらっしゃるでしょう。

血圧は心臓から送り出された血液が血管の内壁を押す際の圧力です。 一般的に血圧といった場合は、上腕にある動脈(上腕動脈)の血圧のことを指します。

動脈とは
心臓から出た血液を全身に送るための丈夫で柔軟かつ弾力性に富んだ血管です。動脈は酸素と栄養を全身の細胞に運ぶ重要な役割を担っています。

血圧には「上の血圧」と「下の血圧」と呼ばれる二つの値があります。

血圧の仕組み

上の血圧は血液を送り出すために心臓が収縮した際の、血管に最も強い圧力がかかっている状態の血圧で、最高血圧、収縮期血圧とも呼ばれます下の血圧は次に血液を送り出すために心臓が拡張した際の、血管の圧力が最も下がっている状態の血圧で、最低血圧、拡張期血圧とも呼ばれます。 血圧の値には心臓から送り出される血液量、血管の弾力性、血液の粘度、腎臓や神経系のはたらき、食塩の摂取量など多くの要因が絡んでいます。

血圧の基準は世界共通で、正常値である「正常血圧」は年齢や性別にかかわらず最高血圧120mmHg未満かつ最低血圧80mmHg未満です[1]。

メモ
血圧は常に一定ではなく、気温や時間帯、食事や運動などさまざまな要因によって変動します。そのため、繰り返し測定した上で基準から外れている場合に高血圧や低血圧と判定されます。

また高血圧の診断基準も世界共通で、年齢や性別にかかわらず最高血圧140mmHg以上かつ/または最低血圧90mmHg以上です。 この値は病院や健康診断などで計測した際の「診察室血圧」と呼ばれる血圧の基準です。

【病院で測定した際の血圧値の基準】

分類 最高血圧 最低血圧
正常血圧 120mmHg未満 かつ 80mmHg未満
正常高値血圧 120~129mmHg かつ 80mmHg未満
高値血圧 130~139mmHg かつ/または 80~89mmHg
高血圧(Ⅰ度) 140~159mmHg かつ/または 90~99mmHg
高血圧(Ⅱ度) 160~179mmHg かつ/または 100~109mmHg
高血圧(Ⅲ度) 180mmHg以上 かつ/または 110mmHg以上

厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」をもとに執筆者作成

一方で、自宅で測定する血圧は「家庭血圧」と呼ばれ、診察室よりもそれぞれ5mmHg低い値が高血圧の診断基準とされます。

【家庭で測定した際の血圧値の基準】

分類 最高血圧 最低血圧
正常血圧 115mmHg未満 かつ 75mmHg未満
正常高値血圧 115~124mmHg かつ 75mmHg未満
高値血圧 125~134mmHg かつ/または 75~84mmHg
高血圧(Ⅰ度) 135~144mmHg かつ/または 85~89mmHg
高血圧(Ⅱ度) 145~159mmHg かつ/または 90~99mmHg
高血圧(Ⅲ度) 160mmHg以上 かつ/または 100mmHg以上

厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」をもとに執筆者作成

血圧の判定においては、家庭血圧の結果が診察室血圧よりも優先されます。 自分の血圧がどれくらいかを把握するためには、自宅で血圧を測定する習慣を付けると良いでしょう。

[1] 日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019

まとめ

いかがでしたでしょうか。血圧は年齢にかかわらず正常値が定義され、家庭血圧が診断上優先されることが重要ポイントです。

要点 正常血圧:120/80mmHg未満(診察室基準) 家庭血圧では基準が5mmHg低め 高血圧の診断は140/90mmHg以上(診察室)

基礎を押さえることで、自分の数値を適切に判断できます。