血圧の正常値と高血圧の基準を総まとめ|診察室血圧・家庭血圧の違い
年齢を問わず、血圧の“正しい目安”を知っておくことは、日々のセルフケアの第一歩です。 上(収縮期)と下(拡張期)の意味、診察室血圧と家庭血圧で基準が異なる理由、そして「正常高値」「高値血圧」といったグレーゾーンの位置づけを理解すれば、受診や生活改善の判断がしやすくなります。
本記事では、血圧の基礎と基準、高血圧/低血圧がもたらす健康リスクを原文のまま整理。放置による動脈硬化や心血管イベントのリスクもあわせて確認できます。この記事では、血圧の正しい見方を身につけるための基礎を網羅的に解説しています。
血圧の基礎知識
「血圧の正常値はどれくらいなんだろう?」 「高血圧だと、体にどんな悪い影響があるんだろう?」
40代に差し掛かり、このように疑問に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。 結論からお伝えすると成人の血圧の基準値はどの年代でも変わりません。
血圧とは心臓から送り出された血液が動脈の内側の壁を押す力のことで、一般的には上腕動脈にかかる力を指します。
血液は心臓がポンプのように収縮・拡張を繰り返すことで全身に行き渡っています。そのため血圧は心臓が収縮して血液を送り出すときに最も高くなり、拡張して血液を送り出す準備をしているときに最も低くなります。 この血圧が最も高くなるときの値は「収縮期血圧」「最高血圧」といい、一般的には「上の血圧」と呼ばれています。
反対に血圧が最も低くなるときの値を「拡張期血圧」「最低血圧」といい、これが「下の血圧」です。
ここでは血圧の基準や高血圧によって生じる健康上のリスクをお伝えしましょう。
血圧の正常値と高血圧の基準
「40代の正常な血圧ってどのくらいなんだろう……」
「どのくらいの数値になると高血圧といわれるのかな?」
このような疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。血圧の基準は年代によって変わるものではありません。
また、血圧は常に変動しており、高血圧とは慢性的に血圧の高い状態のことを指します。 病院で測定した血圧を「診察室血圧」といい、正常血圧は収縮期血圧が120mmHg未満かつ拡張期血圧が80mmHg未満です[1]。
正常値血圧を超えれば高血圧に該当するのではなく、その手前に「正常高値血圧」と「高値血圧」というものがあります。
高血圧は数値によって3段階に分類されています。 診察室血圧の基準を確認してみましょう。
【成人における診察室血圧の分類(mmHg)】
| 収縮期血圧 | 拡張期血圧 | ||
|---|---|---|---|
| 正常血圧 | 120未満 | かつ | 80未満 |
| 正常高値血圧 | 120〜129 | かつ | 80未満 |
| 高値血圧 | 130〜139 | かつ/または | 80〜89 |
| Ⅰ度高血圧 | 140〜159 | かつ/または | 90〜99 |
| Ⅱ度高血圧 | 160〜179 | かつ/または | 100〜109 |
| Ⅲ度高血圧 | 180以上 | かつ/または | 110以上 |
| (孤立性)収縮期高血圧 | 140以上 | かつ | 90未満 |
収縮期血圧と拡張期血圧のいずれか一方が基準値を超えた場合にも、両方が超えた場合にも、高血圧に該当します。
「正常高値血圧」「高値血圧」は高血圧には該当せず治療の対象にはなりませんが、高血圧の一歩手前の状態で、注意が必要な高血圧予備軍であるといえます。
高血圧の基準値には届いていなくとも、脳卒中や心筋梗塞などを引き起こしてしまう可能性があるのです。 そのためご自身の血圧が正常血圧の範囲を上回ってしまっていた場合は注意が必要だといえます。
なお、家庭で測定した場合の血圧「家庭血圧」には以下のような基準が設定されています。
【成人における家庭血圧の分類(mmHg)】
| 収縮期血圧 | 拡張期血圧 | ||
|---|---|---|---|
| 正常血圧 | 115未満 | かつ | 75未満 |
| 正常高値血圧 | 115〜124 | かつ | 75未満 |
| 高値血圧 | 125〜134 | かつ/または | 75〜84 |
| Ⅰ度高血圧 | 135〜144 | かつ/または | 85〜89 |
| Ⅱ度高血圧 | 145〜159 | かつ/または | 90〜99 |
| Ⅲ度高血圧 | 160以上 | かつ/または | 100以上 |
| (孤立性)収縮期高血圧 | 135以上 | かつ | 85未満 |
血圧は緊張やストレスなどによる影響を受けやすく、病院で計測すると高い値を記録してしまうことがあります。 そのため、家庭で血圧を測定する際は病院で測定する際よりも低い基準値が設定されています。
血圧が正常値から外れている場合の健康上のリスク
高血圧が体に良くないことはよく知られていますが、
「高血圧だと体にどんな悪いことがあるの?」と疑問に思っている方もいらっしゃるかもしれませんね。
高血圧には自覚症状がほとんどありません。 しかし放置していると動脈硬化を進行させ、さまざまな病気を引き起こしてしまう可能性が高まります。
動脈の壁は本来しなやかで弾力性に富んでいますが、血圧が高い状態によって常に張り詰めた状態に置かれると、次第に硬く厚くなってしまうのです。
動脈硬化は全身の動脈に起こり、放置していると血管の詰まりや血栓による詰まり、血管の破裂などを起こりやすくします。 これにより、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、脳出血、大動脈瘤(りゅう)、腎硬化症といった病気が生じます。
高血圧を放置していると、命に関わるさまざま病気を招いてしまいかねないのですね。 年を取るにつれて大きな病気をする可能性は高くなるので、40代のうちに高血圧を予防・改善しておくことが重要だといえるでしょう。
一方、血圧が正常値より低い「低血圧」は高血圧と異なり、命に関わる重篤な病気を引き起こすリスクが低いことから、病気と見なされないケースがあります。
そのため、低血圧の明確な診断基準は国内では定められていませんが、一般的には収縮期血圧が100mmHg未満の場合は低血圧であるといわれています[2]。
低血圧は基本的に治療する必要はないといわれていますが、臓器に送られる血液が少なくなってしまうため症状が出る場合もあります。 具体的な症状としては目まいやふらつき、頭痛・頭重、倦怠(けんたい)感・疲労感、肩こりといったものが挙げられます。
また心臓の収縮機能をつかさどる心筋への血液供給が十分でない場合、息切れや狭心症といった症状もたまに見られます。 日常生活に支障を来す場合は、医療機関を受診するようにしましょう。
[2] 日本医師会「低血圧」
まとめ
いかがでしたでしょうか。
血圧は「上」「下」の2値で評価し、診察室血圧と家庭血圧で基準が異なる点、そして「正常高値」「高値血圧」は治療対象外でも放置すべきでないサインであることが要点です。
高血圧は自覚症状に乏しく、動脈硬化を通じて心筋梗塞・脳卒中など重大な疾患のリスクを押し上げます。
ポイント
正常血圧:診察室<120/80、家庭<115/75
グレーゾーン:正常高値・高値血圧は要注意
放置は×:動脈硬化→重大イベントの温床