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血圧を正常に保つ方法|減塩・カリウム・運動・体重管理を徹底解説

血圧を正常に保つには、食塩と栄養バランス、定期的な有酸素運動、適正体重の維持、飲酒と喫煙のマネジメントを総合的に見直す必要があります。本記事では、原文そのままの生活習慣改善のコツに加え、受診の意義と記録の持参の重要性までを一続きで掲載。この文章では、今日から着手できる現実的なアクションを整理して学べます。

血圧を正常値に保つためのコツ

「血圧を上げないためには、どんなことに気を付けたら良いんだろう?」 血圧を正常値に保つためには、どのような点に気を付けたら良いのか気になりますよね。

ここでは、生活習慣のなかで取り組めるコツについて解説します。

血圧を正常値に保つためのコツ

コツ1 食生活を改善する

血圧を上げる要因はさまざまにありますが、日本人の高血圧は食塩の摂り過ぎが最大の要因といわれています。 食塩の摂り過ぎが高血圧を招くのは、「ナトリウム」というミネラルのためです。

ナトリウムとは
人体に必要なミネラルの一種で、主に食塩(塩化ナトリウム)の形で摂取されます。体内ではその多くが細胞外液に含まれ、浸透圧を調節するはたらきを担っています。

ナトリウムを摂取し過ぎると、血液の浸透圧を一定に保つために血液中の水分量が増えるので血液が増加し、血圧が上昇してしまうと考えられています。

このため、血圧を正常値に保つためには食塩の摂取量を制限することが重要です。高血圧を予防するためには1日の塩分摂取量を6g未満とすることが望ましいといわれています[1]。

ラーメンなどの麺類の汁を全部飲むと、それだけで6g近い塩分を摂ってしまいます[2]。日本人の食事は塩分が多い傾向にありますが、以下のように工夫することでナトリウムの摂取量を抑えることができます。

簡単にできる減塩の方法解説図

厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧 」をもとに執筆者作成

さらに、血圧を正常値内に保つコツとして、「カリウム」をしっかり摂ることも勧められています。

カリウムとは
人体に必要なミネラルの一種で、細胞内液に含まれ浸透圧を調節するはたらきを担う他、神経の興奮性や筋肉の収縮、体内のpHバランスの維持に関わっています。

カリウムにはナトリウムを体外に排せつするはたらきがあり、血圧を下げる効果が期待できます。 アボカドやバナナなどのカリウムが豊富に含まれている野菜や果物、納豆などの大豆製品を積極的に摂るようにしましょう。

注意!
腎臓の機能が低下している方はカリウムの摂取を制限する場合があるため、必ず医師に相談してください。

また、カルシウムにも血圧を安定させる効果があるといわれています。カルシウムは牛乳や乳製品から効率良く吸収できるため、意識的に摂るようにしましょう。

その他、脂質や糖、ナトリウムを体外に排出する効果のある「食物繊維」にも、高血圧や肥満などのそれらが原因となる生活習慣病の予防・改善効果が期待されています

食物繊維とは
食べ物のなかに含まれる、ヒトの消化酵素では消化することのできない物質のことです。便通を整え、便秘を防ぐ上で欠かせません。 なお、炭水化物はヒトのエネルギーとなる糖質と食物繊維に分けられます。

食物繊維は植物性食品に多く含まれているので、野菜類や果実類、きのこ類、海藻類、豆類などを積極的に摂取するよう心掛けましょう。

摂取源となる食品や1日に摂取すべき量についてもご紹介しているのでぜひご覧ください。

[1] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版) 」

[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧 」

コツ2 有酸素運動を行う

新緑のなかをウォーキングする女性

定期的な有酸素運動には血圧を下げる効果が認められています。

有酸素運動とは
酸素を使い糖分や脂肪を燃料とした、筋肉への負荷が比較的軽い運動のことです。ウォーキングやジョギング、サイクリング、エアロビクスダンス、水泳などが該当します。

ややきついと感じられる程度の有酸素運動を30分以上、定期的に、できれば毎日行うのが理想的です[3]。 一度に30分間の時間を確保できない場合は、10分以上の運動を合計して1日で40分以上行うようにしましょう[3]。

急に運動を行うのは体に大きな負担となる可能性があるので、まずは掃除や洗車を行う、子どもと遊ぶ、自転車や徒歩で買い物に行くといったことから始めるのもおすすめですよ。

注意!
心臓に問題があるなど、運動を避けるべき場合もあります。血圧が高めの方は運動を行っても良いか、事前にメディカルチェックを受けて確認するようにしましょう。

[3] 厚生労働省e-ヘルスネット「高血圧症を改善するための運動 」

コツ3 適正体重を維持する

日本人の高血圧は肥満を伴わない場合が多いといわれていますが、若年から中年の男性を中心に、肥満を原因とした高血圧が増えています

メモ
腸の周りに脂肪(内臓脂肪)が過剰に蓄積した状態「内臓脂肪型肥満」は、高血圧や糖尿病、脂質異常症などを引き起こしやすいといわれています。

内臓脂肪型肥満は女性より男性に多い傾向にあり、メタボリックシンドロームの診断基準の一つとなっています。

そのため、減量によって血圧を下げられる場合があるのです 。 ご自身が肥満の状態にあるかを確認するには、国際的に用いられている体格指数「BMI」を確認すると良いでしょう。

メモ
BMIは、体重(kg)÷[身長(m)×身長(m)]で求められます。日本肥満学会はBMIが25以上の状態を肥満としています[4]。

まずは、ご自身のBMIを確認しましょう。

肥満を解消するには摂取カロリーを減らすことと、運動などを通じて活動量を増やして消費カロリーを増やすことが重要です 。

体内の脂質を燃料とする有酸素運動はダイエットにもおすすめですよ。 特定の食品を抜いたり極端に食事量を減らしたりする減量方法は避け、バランスの良い食事を摂りながら無理のない減量を行いましょう 。

[4] 厚生労働省 e-ヘルスネット「BMI 」

コツ4 その他生活習慣を見直す

その他にも、血圧を正常に保つためのコツとして、禁煙や飲酒量の見直しなどが挙げられます。喫煙は血管を収縮させて血圧を上昇させるだけではなく、血液の流れを悪くして動脈硬化を進行させます 。 特に血圧が気になる方は禁煙するようにしましょう。

また、大量の飲酒も血圧を上昇させます。1日の適切な飲酒量は純アルコールとして20gです[5]。

純アルコールとは
お酒に含まれるアルコールの量のことで、通常グラム(g)で表されます。アルコールの比重も考慮して、お酒の量(mL)×アルコール度数×0.8(アルコールの比重)で計算します[5]。

代表的なお酒の純アルコール20g相当の量は以下のとおりです。

純アルコール20g相当のお酒の種類と量

公益社団法人 アルコール健康医学協会「お酒と健康 飲酒の基礎知識 」をもとに執筆者作成

また、毎日お酒を飲むのは避け、週1日以上の休肝日を設けるよう心掛けましょう[6]。

[5] 厚生労働省e-ヘルスネット「飲酒量の単位 」

[6] 厚生労働省 e-ヘルスネット「栄養・食生活と高血圧 」

高血圧に該当した場合は医療機関を受診する

聴診器と問診票

高血圧に該当した場合は治療が必要な場合があるため、医療機関を受診しましょう。受診の際は、今まで測定していた血圧の値の記録を持参すると良いでしょう。

そうすることで、医師が家庭での血圧の推移を把握することができ、治療内容などを決める際に役立ちます。血圧の推移をご自身で把握することで、健康を維持する意欲の向上にもつながりそうですね。

血圧の平均値についてのまとめ

血圧の平均値は性別や年代によって異なります

例えば血圧を下げる薬を服用していない方を対象としたデータによると、20代男性の平均値は最高血圧115.9mmHg、最低血圧68.1mmHgであるのに対し、70代になると最高血圧133.9mmHg、最低血圧74.5mmHgと大きく上昇します[7]。

また女性の平均値は20代では最高血圧105.7mmHg、最低血圧63.8mmHgですが、70歳以上では最高血圧133.1mmHg、最低血圧73.9mmHgと、こちらも上昇しています[7]。

正常血圧は最高血圧120mmHg未満かつ最低血圧80mmHg未満とされており[8]、男性では40代から、女性では60代から平均血圧は正常血圧を上回ってしまっているのです[7]。

血圧が高い状態を放置していると動脈硬化が進行し、脳出血や脳梗塞、心筋梗塞を招いてしまう恐れがあるため、血圧は正常域に保つことが重要だといえます。

血圧を正常に保つには食生活を改善すること、有酸素運動を行うこと、適正体重を維持することなどがポイントです。

血圧の平均値ではなく正常域を意識し、日頃の生活習慣を改善してみましょう

[7] 厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査

[8] 厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧

まとめ

いかがでしたでしょうか。 生活習慣の見直しは、血圧を正常域に保つための最短距離です。

要点は次の通りです。

・減塩(1日6g未満)とカリウム・カルシウム・食物繊維の摂取

・「ややきつい」と感じられるレベルの有酸素運動を日々継続

・BMIを指標に体重を適正化

・喫煙は中止、飲酒は純アルコール20gを目安に休肝日を設ける

・数値が高めなら記録を持参し受診

本記事を出発点に、食事・運動・体重管理・飲酒喫煙対策を一体的に進めましょう。

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