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HDLコレステロールの基準値を正しく理解しよう|検査と対策を紹介

健康診断で「HDLコレステロールが高いですね」と言われると、良いことのように聞こえますよね。 しかし、平均値よりも極端に高い場合は、体内で何かしらの異常が起きている可能性もあります。 HDLコレステロールは、動脈硬化を防ぐ大切な働きを持つ一方で、過剰な数値は病気や代謝異常のサインとなることがあります。

この記事では、HDLコレステロールの年齢別平均値と基準値の目安を紹介しつつ、 値が高すぎる場合に受けるべき検査や生活習慣の改善ポイントをわかりやすく解説します。 数値を「良い・悪い」ではなく、正しく理解して自分の健康状態を見直すきっかけにしましょう。

HDLコレステロールの平均値

「HDLコレステロールの平均値はどれくらいなんだろう?」 と気になる方もいらっしゃるでしょう。

HDLコレステロールの平均値は以下のとおりです。

【HLDコレステロールの平均値】

年齢/性別 男性 女性
20歳~29歳 58.4mg/dL 67.5mg/dL
30歳~39歳 53.9mg/dL 69.2mg/dL
40歳~49歳 57.8mg/dL 69.8mg/dL
50歳~59歳 59.6mg/dL 73.1mg/dL
60歳~69歳 61.6mg/dL 68.7mg/dL
70歳~79歳 57.5mg/dL 64.1mg/dL

厚生労働省「第2部 身体状況調査の結果」をもとに執筆者作成

HDLコレステロールの基準値は40mg/dL以上であるため、全ての年代の平均値は基準値を満たしていると考えられます[1]。 ただし、あくまで平均値のため病気の判断ができるわけではありません。 参考としてチェックしておくと良いでしょう。

[1] 公益社団法人 日本人間ドッグ協会「検査表の見方」

高過ぎるHDLコレステロール値が気になる場合

診察

HDLコレステロール値が高過ぎる場合は、検査を受け治療や生活習慣の改善を行うことが重要です。 過度な飲酒をしている方は節酒を心掛けましょう。

ただし、生活習慣を改善するだけではHDLコレステロール値が下がらない場合もあります。 CETP欠損症などの病気が原因でHDLコレステロール値が高くなっている可能性もあるので、病院で検査を受けることが大切です。

CETPとは
肝臓や小腸で合成され血中に存在するたんぱく質の一種です。 HDLコレステロールやLDLコレステロールの質と量を調節するはたらきがあります。

何らかの異常が見受けられた場合は医師の指示に従い、治療や生活習慣の改善に取り組みましょう。

HDLコレステロール値が高い場合についてのまとめ

HDLコレステロールはコレステロールの一種であり、過剰なコレステロールや血管の壁にたまったコレステロールを肝臓に戻し、動脈硬化を防ぐ効果を持ちます。

動脈硬化とは
心臓から血液を全身の器官に送る血管「動脈」の壁が本来のしなやかさや弾力性を失い、厚く硬くなってしまった状態のことです。 狭心症や心筋梗塞、脳梗塞など心臓や脳の血管の病気を引き起こす原因となります。

そのため、血中のHDLコレステロール濃度は一定基準よりも高いことが望ましいとされています。 しかし、HDLコレステロール値が平均よりも高過ぎる場合は、コレステリルエステル転送たんぱく(CETP)欠損症や原発性胆汁性胆管といった病気などが原因になっている可能性があります。 さらに長期間にわたる過剰な飲酒や薬の副作用によってHDLコレステロール値が上昇する場合もあります

CEPT欠損症はかえって動脈硬化のリスクを高め、原発性胆汁性胆管炎では他の症状によって健康を害する恐れもあります。 そのため、HDLコレステロール値が平均よりも並外れて高い場合には医療機関を受診し、問題がないか確認しておきましょう。

また過剰な飲酒は避けるようにしてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。 HDLコレステロールは「高いほど良い」と思われがちですが、平均値を大きく超える高値は注意が必要です。 健康診断で高値を指摘された場合は、生活習慣の見直しだけでなく、遺伝性疾患や肝機能異常の可能性も考慮し、医療機関で検査を受けることが大切です。

ポイントを整理すると: HDLコレステロールの平均値は男女で異なる(女性がやや高め) 基準値は40mg/dL以上 高すぎる場合は病気や飲酒・薬の影響の可能性あり 放置せずに検査・節酒・生活改善を行うことが重要

気になる方は、LDL(悪玉)コレステロールとのバランスにも注目し、健康的な血中脂質を維持していきましょう。