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LDLコレステロールを下げる8つの方法|食事・運動・禁煙・脂質改善

原因が見えたら、次は実践です。

本稿では摂取カロリーの調整・脂質の選び方・食物繊維の確保・有酸素運動・禁煙まで、今日から着手できる8つの対策を網羅。 さらにいつ受診すべきか、治療(食事・運動・薬物)の位置づけも押さえます。

この文章では改善ポイント8+受診の目安+総まとめ(原文6章)を解説しています。 この文章を読むと、自分の行動計画を具体的に描くことができます。

LDLコレステロール値を改善するためのポイント

LDLコレステロール値を改善するポイント

「高くなったLDLコレステロール値を改善するには何をすれば良いの?」

LDLコレステロール値を正常にするための方法を知りたいという方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。 LDLコレステロール値を改善するための八つのポイントを紹介していきます。

ポイント1 摂取カロリーを適切に制限する

玄米ご飯とすまし汁の和食

LDLコレステロール値を改善するには摂取カロリー(エネルギー摂取量)を適切に制限するのがポイントです。

カロリーとは
ヒトが生命機能を維持したり身体活動を行ったりするために、食べ物などから摂取し消費するエネルギーの単位のことです。 1cal(カロリー)は非常に小さい単位であるため、実際にはその1,000倍の値であるkcal(キロカロリー)が用いられます。

血中のLDLコレステロール値を下げるには、体重を適正にするようにしましょう

体重は摂取カロリーと消費カロリー(エネルギー消費量)のバランスによって増減します。 摂取カロリーが消費カロリーを上回った状態が続けば体重は増加し、摂取カロリーが消費カロリーを下回った状態が続けば体重は減少します。 このため体重の管理には摂取カロリーの適切な制限が欠かせないのです。

摂取カロリーは、標準多重であるときに消費するカロリー(エネルギー量)を目安に設定しましょう。

標準体重とは
BMIが22.0になるときの体重で、肥満と関連の強い脂質異常症や糖尿病、高血圧などの病気に統計上最もなりにくいといわれています[1]。 BMIは肥満度を表すために国際的に用いられている指標で、体重(kg)÷[身長(m)の2乗]で求められます[1]。 国内では25以上で肥満と定義されています[1]。

例えば身長が175cmの場合には、1.75(m)×1.75(m)×22=67.38kgが適正体重となります。

標準体重となるために目指すべき摂取カロリーは、適正体重と身体活動の強さから求められます。 身体活動の強さは以下のとおり3段階の「身体活動レベル」で表されます。

【身体レベル】
身体活動レベル 日常生活の内容
低い(Ⅰ) 1日のほとんどを座って過ごす、静的な活動が中心の人
普通(Ⅱ) 主に座り仕事に従事しているが、軽い運動や散歩の習慣がある人
高い(Ⅲ) 立ち仕事や移動が多い仕事に従事している人。または活発な運動習慣がある人

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

以下の表から該当する年齢と性別、身体活動レベルに該当する体重1kg当たりの推定必要カロリー(推定エネルギー必要量)を探し、ご自身の適正体重を掛けましょう。

【体重1kg当たりの推定必要カロリー(kcal/日)】
性別 男性 女性
身体活動レベル Ⅰ(低い) Ⅱ(ふつう) Ⅲ(高い) Ⅰ(低い) Ⅱ(ふつう) Ⅲ(高い)
18~29歳
35.5
41.5
47.4
33.2
38.7
44.2
30~49歳
33.7
39.3
44.9
32.9
38.4
43.9
50~64歳
32.7
38.2
43.6
31.1
36.2
41.4
65~74歳
31.3
36.7
42.1
30.0
35.2
40.4
75歳以上
30.1
35.5
-
29.0
34.2
-

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

こうして求めた推定必要カロリーを日々の摂取カロリーの目安とすることで、適正体重を目指せますよ。

[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満と健康

ポイント2 飽和脂肪酸を控える

クリームを泡だて器で混ぜているところ

飽和脂肪酸はLDLコレステロール値を上昇させるため、摂取を控えましょう

飽和脂肪酸とは
脂質の構成要素である「脂肪酸」の一種です。 脂肪酸は飽和脂肪酸と「不飽和脂肪酸」に大別できます。

厚生労働省は飽和脂肪酸から摂取するカロリーを1日の総摂取カロリーの7%以下に抑えるという目標量を設定しています[2]。 飽和脂肪酸は特に肉の脂身やバター、生クリーム、インスタントラーメンなどに多く含まれています。

LDLコレステロール値を改善したい方は目標量を超えないように注意する必要があるでしょう。

[2] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

ポイント3 コレステロールを控える

スプーンですくったいくら

コレステロールを控えることもLDLコレステロール値の改善につながると考えられています

コレステロールとは
ヒトの体内に存在し、細胞膜・ホルモン・胆汁酸の材料となる脂質の一種です。 その多くが肝臓などで合成され、量は体内で調整されています。 生活習慣病の原因となるのは、たんぱく質などと結合しリポタンパク質として血中にあるコレステロールです。

高LDLコレステロール血症の場合、1日のコレステロール摂取量を200mg未満にすることで、改善が見込めるとされています[3]。

コレステロールは肉類や魚類、卵類などの動物性食品に多く含まれています。 LDLコレステロール値が高く、鶏卵や魚卵、内臓類といったコレステロールの多い食べ物をよく食べる人は、まずこれらの量を減らすと良いでしょう。

[3] 厚生労働省 e-ヘルスネット「脂質異常症

ポイント4 トランス脂肪酸を控える

ビスケット

LDLコレステロール値を改善するにはトランス脂肪酸の摂取も抑えましょう

健康への悪影響があるとされている工業由来のトランス脂肪酸はマーガリンやショートニングを使った食品などに使われています。 揚げ物類やスナック菓子、パイ菓子、クッキー類などの市販の洋菓子類の摂取は控えるようにしましょう

ポイント5 不飽和脂肪酸を過不足なく摂取する

さばの味噌煮

LDLコレステロール値を低下させるには不飽和脂肪酸を過不足なく摂取することも重要だと考えられています。

不飽和脂肪酸全体は必須脂肪酸ではありません。

必須脂肪酸はn-3系脂肪酸とn-6系脂肪酸です。 不飽和脂肪酸には一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸の二つの種類があり、多価不飽和脂肪酸はさらにn-3系脂肪酸とn-6系脂肪酸に分かれます。

n-3系脂肪酸にはLDLコレステロール値を低下させる効果はないものの、HDLコレステロール値をわずかに上昇させ、中性脂肪を下げる効果があります。 n-3系脂肪酸にはリノレン酸やEPA、DHA(ドコサヘキサエン酸)、IPA(イコサペンタエン酸)などがあります。

EPAやDHAはサバやイワシなどの青魚から摂取することができます。 目安として1日に魚一切れは食べるようにしましょう。

n-6系はリノール酸やリノレン酸などがありますが、日本人が摂取するのはほとんどがリノール酸とされています。 リノール酸は大豆油やコーン油など植物油から摂取できます。

日々の食事で飽和脂肪酸を多価不飽和脂肪酸に置き換えることで、心筋梗塞や脳梗塞の予防に有効だといわれています。 肉類の代わりに魚類を食べたり、使う油を選んだりするといった工夫をすると良いでしょう。

ポイント6 食物繊維を十分に摂取する

キャベツの千切り

食物繊維を十分に摂取することもLDLコレステロール値を下げるためのポイントの一つです。

食物繊維とは
食品成分のうちヒトの消化酵素では消化できない物質の総称で、炭水化物の一種に当たります。

食物繊維には便秘予防などの整腸効果に加えて脂質や糖質を吸着して体外に排出するはたらきがあります。 このため、血中のコレステロール濃度を低下させたり肥満を予防したりする効果が期待できます

成人の理想的な食物繊維摂取量は1日当たり24g以上であるとされています[4]。 しかし、現在日本人の食物繊維の平均摂取量は減少傾向にあり、これに及んでいません。

厚生労働省は実現可能性を考慮し、18~64歳の男性に対し21g以上、女性に対し18g以上の目標量を設定しています[4]。

目標量とは
生活習慣病の予防のために日本人が目標とすべき摂取量です。

また65歳以上の目標量は男性で20g以上、女性で17g以上です[4]。

食物繊維は穀類や豆類、野菜類、果実類、きのこ類、海藻類など植物性食品に豊富に含まれています。 不足しがちな食物繊維を摂取するため、これらの食品を積極的に摂取するようにしましょう。

[4] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

ポイント7 適度に有酸素運動を行う

ウォーキングする女性

LDLコレステロール値の改善のためには適度な「有酸素運動」も有効です。

有酸素運動とは
比較的負荷の小さな運動で、筋肉を動かす際のエネルギー源として脂肪や糖質と一緒に酸素が使われることからこのように呼ばれます。

有酸素運動は脂肪を燃やすことから、血中のLDLコレステロールや中性脂肪を減らしたり、体脂肪を減らして肥満を予防・改善したりする効果が期待できるのです。

LDLコレステロール値を改善するには毎日、少なくとも週に3日は30分以上の中強度以上の有酸素運動を行うことが望ましいとされています[5]。 30分以上続けて運動することが難しい場合は短時間の運動を合計30分以上行う形でも問題ありません[5]。

中強度に該当する運動としてはウォーキングやゆっくりペースのジョギング、サイクリング、水泳、エアロビクスなどが挙げられます。 運動を行う際は準備運動や整理運動を十分に行い、ご自身の年齢や健康状態などに合わせて無理をしないようにしましょう。

また脂質異常症と診断された方や健康に不安のある方は医師の指示に従ってください。

脂質異常症とは
血中の脂質の値が基準値から外れた状態のことです。 高LDLコレステロール血症の他に、HDLコレステロール値が低い「低HDLコレステロール血症」、中性脂肪(トリグリセリド)が高い「高トリグリセライド血症」などがあります。

[5] 厚生労働省 e-ヘルスネット「脂質異常症を改善するための運動

ポイント8 禁煙する

2本の紙タバコ

LDLコレステロール値を改善するには禁煙することも重要とされています。 たばこを吸うとLDLコレステロール値が上がるだけでなく、中性脂肪が増えてHDLコレステロール値が減少します。

たばこにはニコチンや一酸化炭素、タールといった健康被害をもたらす物質が含まれています。 そのため喫煙をすることで脂質異常症だけでなく高血圧、糖尿病といった生活習慣病のリスクが高まります

また喫煙は生活習慣病のほかにもがんや脳卒中といったさまざまな病気のリスクを高め、受動喫煙によって周囲の人にも害を及ぼします。 LDLコレステロール値を改善するためにも、健康で過ごすためにも喫煙はやめるようにしましょう。

たばこをやめたいものの自力ではやめられないという人は禁煙外来を利用すると良いでしょう。 禁煙外来はたばこをやめたい人が利用する専門外来のことで、カウンセリングや生活指導、ニコチン置き換え療法といった禁煙治療などさまざまなサポートが受けられます。

LDLコレステロール値が高い場合は受診しよう

男性医師

「LDLコレステロール値に異常が見つかったらどうすれば良いのかな?」 このように悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

LDLコレステロール値が高いと指摘された場合には、一般的な内科を受診しましょう。 脂質異常症は進行すると動脈硬化や心筋梗塞などを引き起こす恐れがあるため、すでに進行しており心血管疾患の疑いがある場合には、循環器内科や血管外科を受診しましょう。

動脈硬化とは
心臓から全身に送られる血液が通る「動脈」の血管が硬くなり弾力性を失った状態のことです。老化や喫煙、肥満、運動不足などさまざまな要因によって引き起こされます。動脈硬化にはいくつかの種類があります。

高LDLコレステロール血症の治療法としては食事療法・運動療法・薬物療法の三つがあります。

脂質異常症の治療の基本は摂取カロリーを制限したり食事内容を改善したりといった食事療法や、定期的な有酸素運動による運動療法による継続的な生活習慣の改善です。 薬物療法は食事療法や運動療法を行ってもコレステロール値が下がらず、動脈硬化や狭心症などの恐れがある場合に用いられる補助的に用いられます。

LDLコレステロールについてのまとめ

LDLコレステロールはヒトの血液中にある脂質の一つで、別名悪玉コレステロールとも呼ばれています。 血液中のLDLコレステロールが増え過ぎた状態が、高LDLコレステロール血症です。 LDLコレステロールが血管の内側に蓄積すると動脈硬化を引き起こし、冠動脈疾患や脳血管疾患などの命に関わる重大な病気のリスクが高まります

冠動脈疾患とは
心臓に血液を送る冠動脈の血流が悪化し心臓に障害が起こる病気の総称です。 狭心症や心筋梗塞などが挙げられます。 狭心症は冠動脈が狭まり血流が悪くなることで心筋(心臓の筋肉)への酸素供給が低下し、胸の痛みなどが起こる病気です。 心筋梗塞では血管がふさがれ、心筋が酸欠による壊死(えし)を起こします。 対処が遅れると死に至る病気です。
脳血管疾患とは
脳の血管が詰まったり破れたりすることで起こる病気の総称です。 脳の血管が詰まることで起こる「脳梗塞」、脳の血管が破れることで起こる「脳出血」、脳の血管の壁が薄くなり膨らんだ「動脈瘤」が破裂して起こる「くも膜下出血」があります。

LDLコレステロール値が高くなる原因には脂質の摂り過ぎやそれによる内臓脂肪の蓄積に加え、ストレスや遺伝などさまざまな原因が挙げられます。

内臓脂肪とは
胃や腸などの臓器の周りに蓄積する脂肪のことです。 体脂肪は内臓脂肪と皮下組織に蓄積する皮下脂肪に分けられます。

LDLコレステロール値を改善するには摂取カロリーを適切に制限し、飽和脂肪酸やコレステロール、トランス脂肪酸の摂取を控えることが重要です。 また不飽和脂肪酸や食物繊維を積極的に摂取しましょう。 定期的な有酸素運動や禁煙も効果的です。

LDLコレステロール値が高いと指摘されたら内科を受診し、医師の指導の下で食事療法や運動療法に取り組みましょう。 この記事を、LDLコレステロール値を増やさないための参考にしてくださいね。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

行動に落とすための要点は次の3段階です。

食事:カロリー適正化/飽和・トランス脂肪酸を控える/不飽和脂肪酸と食物繊維を意識。 運動・禁煙:中強度の有酸素運動を週3日以上・合計30分/日以上目標。禁煙は最優先の健康投資。 医療:数値や合併症リスクによって受診・治療選択。生活療法が基本、薬物療法は補助。

Q&A

QLDLコレステロールを下げるために、まず何をすればいい?
A. 摂取カロリーを見直し、適正体重を目指すことが第一歩です。標準体重と活動量に合ったカロリーに調整しましょう。
Q 脂質は具体的にどう変えればいい?
A 飽和脂肪酸・トランス脂肪酸・コレステロールを控え、不飽和脂肪酸(青魚・植物油など)や食物繊維を増やすことがポイントです。
Qどんな運動がLDL改善に効果的?
A ウォーキングやジョギング、サイクリング、水泳などの中強度の有酸素運動を、週3日以上・1日合計30分を目安に続けましょう。
Q. 喫煙はどんな影響がある?禁煙は必要?
A喫煙はLDL増加・中性脂肪増加・HDL低下を招きます。禁煙は脂質異常症だけでなく、高血圧・糖尿病・がんなどのリスク低減にもつながります。
Q LDLが高いと言われたら、いつ・どこに受診すべき?
A健診で高値を指摘されたら内科を受診しましょう。動脈硬化や心臓の病気が疑われる場合は循環器内科などを案内され、食事・運動療法を基本に、必要に応じて薬物療法が検討されます。
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