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LDLコレステロールが上がる原因8選|食事・脂肪・ストレス・遺伝要因

数値を下げるには、まず「なぜ上がるのか」を突き止めることが近道です。

本稿では食事由来(飽和・コレステロール・トランス脂肪酸)、体脂肪・ホルモン・ストレス・喫煙、そして遺伝(FH)まで、LDL上昇の主要因を網羅的に解説します。 この文章ではLDLが高くなる8つの原因を原文の流れで紹介しています。 この文章を読むと、自分に当てはまりやすい要因の見当がつき、改善策の優先順位が立てやすくなります。

LDLコレステロール値が高くなる原因

「LDLコレステロール値が高くなってしまう原因はなんだろう?」 このような疑問を持っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

LDLコレステロール値上昇の原因について解説します。

コレステロールとは
ヒトの体内に存在し、細胞膜・ホルモン・胆汁酸の材料となる脂質の一種です。 その多くが肝臓などで合成され、量は体内で調整されています。 生活習慣病の原因となるのは、たんぱく質などと結合しリポタンパク質として血中にあるコレステロールです。

飽和脂肪酸の摂り過ぎ

食品トレーにのった豚バラ肉

「飽和脂肪酸」の摂り過ぎはLDLコレステロール値上昇の原因の一つです。

飽和脂肪酸とは
脂質の構成要素である「脂肪酸」の一種です。 脂肪酸は飽和脂肪酸と「不飽和脂肪酸」に大別できます。

飽和脂肪酸は主に乳製品や肉類などの動物性脂肪や、パーム油などの植物油脂、インスタントラーメンといった加工食品に多く含まれています。 飽和脂肪酸を多く含む食品を食べ過ぎるとLDLコレステロール値が高まります。 LDLコレステロール値が気になる人は、普段の食事で飽和脂肪酸を摂り過ぎないよう注意する必要があるでしょう。

コレステロールの摂り過ぎ

割った生卵

コレステロールの摂り過ぎもLDLコレステロール値を高めます。 食品から摂取するコレステロールは、飽和脂肪酸よりも影響が小さく、個人差も大きいといわれています。 しかしLDLコレステロール値を高める要因の一つであり、無制限に摂取して良いわけではないため注意が必要です。

コレステロールの主な摂取源は鶏卵の黄身や魚卵などです。 LDLコレステロール値が高いという人は、普段の食事でコレステロールを含む食品をたくさん摂取していないかチェックするようにしましょう。

トランス脂肪酸の摂り過ぎ

マーガリンとバターナイフ

トランス脂肪酸の摂り過ぎもLDLコレステロール値が高くなる原因の一つです。

そもそもトランス脂肪酸とはどんなものなのか分からないという人もいらっしゃるかもしれません。 トランス脂肪酸は不飽和脂肪酸の一種で、液状の不飽和脂肪酸(植物油や魚油)を工業的な加工により固形の飽和脂肪酸に変える際の副産物として生じます。 トランス脂肪酸は飽和脂肪酸よりも、HDLコレステロールに対するLDLコレステロールの割合を大きく上昇させることが分かっています。

また冠動脈疾患発症のリスクを高めることも報告されています。

冠動脈疾患とは
心臓に血液を送る冠動脈の血流が悪化し心臓に障害が起こる病気の総称です。 狭心症や心筋梗塞などが挙げられます。 狭心症は冠動脈が狭まり血流が悪くなることで心筋(心臓の筋肉)への酸素供給が低下し、胸の痛みなどが起こる病気です。 心筋梗塞では血管がふさがれ、心筋が酸欠による壊死(えし)を起こします。 対処が遅れると死に至る病気です。
メモ
トランス脂肪酸には牛や羊などの反すう動物の胃の中で微生物によって生成される天然のものもありますが、健康に悪影響を及ぼすのは工業由来のものだけであるとされています。

工業由来のトランス脂肪酸はマーガリンやショートニング、これらを使用するパンやケーキ、ドーナッツなどの洋菓子、揚げ物などに含まれています。 普段から市販の菓子パンやお菓子を食べることが多い人は摂り過ぎには注意しましょう。

内臓脂肪の蓄積

メジャーで腹囲を図っている人

内臓脂肪の蓄積はLDLコレステロール値の上昇を招くといわれています。

内臓脂肪とは
胃や腸などの臓器の周りに蓄積する脂肪のことです。 体脂肪は内臓脂肪と皮下組織に蓄積する皮下脂肪に分けられます。

内臓脂肪が蓄積した状態では、LDLコレステロール値や中性脂肪値が上昇しやすくなるとともに、HDLコレステロール値が低下しやすくなります。 これは脂肪組織から分泌される「アディポサインカイン」という物質が原因です。

アディポサイトカインにはいくつかの種類があり、本来は脂肪組織の代謝において重要なはたらきをします。

代謝とは
栄養素を体に必要な物質やエネルギーに変えるはたらきのことです。

しかし、内臓脂肪が蓄積すると、このアディポサイトカインの分泌に異常が起こり、アディポサイトカインの一種である「アディポネクチン」の分泌が減少してしまうのです。 このアディポネクチンは動脈硬化や糖尿病の予防に役立つと考えられており、分泌量が低下するとコレステロール値の上昇や高血糖、高血圧を招くと考えられています。

動脈硬化とは
心臓から全身に送られる血液が通る「動脈」の血管が硬くなり弾力性を失った状態のことです。 老化や喫煙、肥満、運動不足などさまざまな要因によって引き起こされます。 動脈硬化にはいくつかの種類があります。

なお、内臓脂肪に脂質代謝異常(血中脂質の異常)、高血糖、高血圧のうち二つ以上が重なった状態を「メタボリックシンドローム」といいます[1]。 メタボリックシンドロームは動脈硬化の危険因子として予防・改善が重視される病態です。 内臓脂肪、脂質代謝異常、高血圧、高血糖はいずれも動脈硬化の危険因子ですが、それぞれは軽度でも重なればより動脈硬化進行のリスクが高まるとされています。

内臓脂肪の蓄積はLDLコレステロール値の上昇の他、さまざまな動脈硬化進行の要因を引き起こすので特に注意が必要だといえますね。

[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「メタボリックシンドローム(メタボ)とは?

ストレス

悩んでいる様子の女性

ストレスはLDLコレステロール値を上昇させる原因の一つです。 ヒトはストレスを受けると交感神経が刺激され血圧が上がります

交感神経は自律神経の一種で、活発に活動するときの他、興奮しているときや緊張しているとき、恐怖や危機を感じているとき、イライラしているときなどに優位になります。

メモ
自律神経とは意思と無関係にはたらき、呼吸や体温調節、消化などの体の機能を維持する神経の総称です。 相反するはたらきをする交感神経と副交感神経に分けられます。 副交感神経は睡眠時や休息時、食事中、安心しているとき、リラックスしているときなどに優位になります。

ストレスを受けると、体内では一時的なストレスに対処するためのコルチゾールというホルモンが分泌されます。 コルチゾールは交感神経を刺激することで体の緊張状態を保ち、脈拍や血圧を上昇させることで脳を覚醒させる作用を有しています。

コルチゾールはコレステロールを材料につくられるため、コルチゾールの分泌量が増えると、それに伴ってLDLコレステロールが増加してしまうのです。

喫煙

タバコを持つ手

喫煙もLDLコレステロール値を上昇させる原因の一つといわれています。 喫煙は糖質や脂質の代謝に悪影響を与えることが分かっています。

たばこを吸うとLDLコレステロールの増加だけでなく、中性脂肪の合成やHDLコレステロールの減少をも招くとされています

女性ホルモンの低下

テーブルに突っ伏している女性

女性の更年期における女性ホルモンの低下もLDLコレステロール値を上昇させることがあります。

更年期とは
閉経前後の5年間を合わせた10年間のことです[2]。 女性ホルモンの分泌量が大きく減少することから火照りやホットフラッシュをはじめとしたさまざまな「更年期障害」が現れます。

女性ホルモンである「エストロゲン」にはLDLコレステロールの生成を抑えたり、余分なLDLコレステロールの肝臓への回収を促したりする作用があります。 さらにエストロゲンにはHDLコレステロールを増やす作用もあります。

しかし更年期を迎えるとエストロゲンが一気に減少してしまいます。 エストロゲンの急な減少はLDLコレステロール値の急上昇を招くため、女性のLDLコレステロールの平均値は閉経以降の年代では男性を上回ってしまうのです。

[2] 公益社団法人 日本産科婦人科学会「更年期障害

遺伝

健康診断票でLDLコレステロール値を蛍光ペンで囲ったところ

遺伝が原因でLDLコレステロール値が高くなる場合もあります。 この病気は「家族性高コレステロール血症(FH)」と呼ばれるもので、若い頃からLDLコレステロール値が高い状態が続きます。

この病気では血中のLDLコレステロールを肝臓で十分に処理できないことから、LDLコレステロール値が上昇して動脈硬化を引き起こします。 結果として、若年時代から狭心症や心筋梗塞を発症するリスクが高くなります。

メモ
この病気は300人に1人程度の人が発症する遺伝性疾患の一つです[3]。 また重症化するケースは36万~100万人に1人以上の割合といわれています[3]。

[3] 一般社団法人 日本動脈硬化学会「家族性高コレステロール血症(FH)とは?

まとめ

いかがでしたでしょうか。

LDL上昇の背景には食事脂質の質と量、内臓脂肪と代謝、ストレスや喫煙、ホルモン変化、遺伝が絡みます。

食事:飽和・トランス脂肪酸、コレステロール過多に注意。 体組成:内臓脂肪→アディポサイトカイン変調→LDL↑/HDL↓。 ライフスタイル:ストレス・喫煙は悪化要因。 女性:更年期のエストロゲン低下で上昇しやすい。 遺伝:FHは若年から高値、専門受診が重要。

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